リネンサプライの原価計算|1枚あたり原価と損益分岐点の出し方【2026年版】
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リネンサプライの原価計算|1枚あたり原価と損益分岐点の出し方【2026年版】

2026年7月25日24分で読める

リネンサプライの原価は「1枚あたり原価=洗濯加工費+配送按分費+リネン償却費(リネン購入単価÷想定回転数)+紛失・破損補填費+間接費按分」で費目分解し、損益分岐点は「固定費÷1枚あたり限界利益(単価−変動費)」で回転数ベースに換算して求めます。洗濯・配送・リネンそのものの償却が入り混じるため、「1枚いくらで回っているのか」を数字で説明できない事業者は少なくありません。単価交渉や値上げの根拠づくりも、赤字ラインの把握も、まず1枚あたり原価と損益分岐点を式で持っていることが出発点になります。本記事は供給側(リネンサプライ事業者)の視点で、費目の定義・1枚あたり原価の式・損益分岐点の求め方・試算テンプレートの作り方を整理します。なお本記事の数値は計算の考え方を示す係数モデルであり、実額は自社の会計方針・原価データに合わせて算定してください。

結論:1枚あたり原価は5費目に分解し、損益分岐点は「固定費÷1枚あたり限界利益」で出す

リネンサプライの原価計算は、1枚あたり原価を洗濯加工費・配送按分費・リネン償却費・紛失破損補填費・間接費按分の5費目に分解し、そのうえで損益分岐点を「固定費÷1枚あたり限界利益」で回転数ベースに換算するのが基本形です。ポイントは、リネンそのものの費用を「購入額」ではなく「購入単価÷想定回転数」で1枚原価に落とすこと、そして紛失・破損の補填を原価に組み込むことの2点です。この2つを外すと、回れば回るほど利益が出る構造も、想定より早くリネンが消えると原価が跳ね上がる構造も見えなくなります。

リネンサプライの1枚あたり原価5費目と損益分岐点回転数の全体像を示す原価計算の早見図
リネンサプライの1枚あたり原価5費目と損益分岐点回転数の全体像を示す原価計算の早見図

なお、ここでいう原価計算は供給側(貸す側)の管理会計の話です。リネンを借りて使う発注側(ホテル・病院など)にとってのリネン費用は支払リース料・レンタル料として経費計上されるもので、費目分解の考え方が異なります。本記事は「自社でリネンを保有し、洗濯・配送して貸与する事業者」が自社の採算を測るための原価計算を対象とします。

原価計算の精度は、回収・納品の実数と紛失破損の数量差異をどれだけ正確に押さえられるかで決まります。リネンサプライHUBは配送員のスマホ現場入力から回収納品実数と数量差異を記録し、会計処理に使う実績をCSVで書き出せます(原価計算そのものを自動で行う機能ではありません)。

1枚あたり原価を構成する5費目

1枚あたり原価は、性質の異なる5つの費目を積み上げて求めます。それぞれ「1回の洗濯・配送ごとにかかる変動費」なのか「保有しているだけでかかる費用」なのかを意識して分けると、後の損益分岐点計算がぶれません。

5費目の定義と分類

各費目の内容と、変動費・固定費のどちらに寄るかを整理すると次のようになります。

費目内容費用の性質
洗濯加工費水道光熱・洗剤・洗濯工程の労務変動費(洗う枚数に連動)
配送按分費集配の燃料・車両・配送員人件費を枚数按分準変動費(便数・積載に依存)
リネン償却費リネン購入単価を想定回転数で割った1枚あたり負担変動費的に配賦
紛失破損補填費数量差異で消えた分の再調達コスト変動費(差異率に連動)
間接費按分事務・システム・管理部門費の枚数按分固定費を按分
洗濯加工費・配送按分費・リネン償却費・紛失破損補填費・間接費按分の5費目と費用の性質を示す費目分解表
洗濯加工費・配送按分費・リネン償却費・紛失破損補填費・間接費按分の5費目と費用の性質を示す費目分解表

見落とされやすいのは償却費と補填費

洗濯加工費や配送費は日々支払うため意識しやすい一方、リネン償却費と紛失破損補填費は「リネンを買ったとき」「棚卸しで数が合わなかったとき」に一時費用として処理され、1枚原価に配賦されないまま見過ごされがちです。この2費目を1枚原価に織り込むことが、供給側の原価計算で最も差がつくところです。数量差異が原価に効く仕組みはリネンの紛失・破損は誰が負担?責任分界と証跡の残し方でも整理しています。

リネン償却費の出し方=購入単価÷想定回転数という考え方

リネン償却費は、1枚のリネンを購入してから使えなくなるまでに何回転(何回貸し出す)できるかを見積もり、購入単価をその回転数で割って1回あたりの負担額を出します。式にすると「リネン償却費(1枚あたり)=リネン購入単価 ÷ 想定回転数」です。

想定回転数が原価を大きく動かす

同じ購入単価でも、想定回転数を何回と置くかで1枚あたりの償却費は大きく変わります。下の係数モデルは考え方を示すための仮の数値で、実額は自社の購入単価・耐用回数で置き換えてください。

購入単価(仮)想定回転数(仮)1枚あたり償却費
500円100回5.0円
500円50回10.0円
800円80回10.0円
800円40回20.0円
リネン購入単価を想定回転数で割って1枚あたり償却費を求める計算例の早見表
リネン購入単価を想定回転数で割って1枚あたり償却費を求める計算例の早見表

回転数は「洗濯に耐える耐用回数」と「紛失・破損で失われる前に何回使えたか」の両方で決まります。つまり紛失破損が多いほど実際の回転数は想定を下回り、1枚あたり償却費は上振れします。想定回転数は理論値を置いたうえで、棚卸しの実績で毎期見直すのが実務的です。

損益分岐点の求め方(固定費÷1枚あたり限界利益/回転数ベースへの換算)

損益分岐点は「利益がゼロになる操業水準」で、一般には「損益分岐点売上高=固定費÷限界利益率」で求めます(限界利益率=限界利益÷売上高、損益分岐点の基本式はマネーフォワード クラウド会計 損益分岐点とは? 等が詳しい)。限界利益とは売上高から変動費を差し引いた額で、固定費を回収する原資になります。

リネンサプライでは「回転数ベース」に換算すると使いやすい

リネンサプライは1枚あたりで単価も変動費も把握できるため、金額ではなく「延べ何回転すれば黒字になるか」に置き換えると現場の実感に近づきます。式は「損益分岐点回転数=固定費 ÷ 1枚あたり限界利益」で、1枚あたり限界利益は「1枚あたり単価 −(洗濯加工費+配送按分費+リネン償却費+紛失破損補填費)」です。ここで間接費など固定費は分母に含めず、まとめて固定費側に置くのがコツです。

紛失破損は変動費を押し上げて分岐点を上げる

紛失破損補填費が増えると1枚あたり変動費が上がり、限界利益が縮み、損益分岐点回転数が上がります。逆に数量差異を抑えられれば、同じ固定費でも黒字化に必要な回転数が下がります。原価計算と現場の数量管理が地続きである理由がここにあります。利益率そのものを引き上げる打ち手はリネンサプライの利益率を上げる方法で扱っています。

1枚あたり原価と損益分岐点の試算モデル・早見表(独自試算)

ここまでの式をつなぐと、1枚あたり原価から損益分岐点回転数までを一枚の試算モデルで見通せます。次の早見表は考え方を示す係数モデルで、実額は自社データで置き換える前提です。

損益分岐点回転数の早見表

1枚あたり限界利益(単価−変動費)が大きいほど、また固定費が小さいほど、黒字化に必要な延べ回転数は下がります。

月間固定費(仮)1枚あたり限界利益(仮)損益分岐点回転数(延べ枚数)
100万円50円20,000回
100万円40円25,000回
150万円50円30,000回
150万円40円37,500回
月間固定費と1枚あたり限界利益から損益分岐点回転数を逆算する試算モデルの早見表
月間固定費と1枚あたり限界利益から損益分岐点回転数を逆算する試算モデルの早見表

この延べ回転数を保有枚数と月内回転で割り戻せば「保有◯枚を月に何回転させれば黒字か」に翻訳できます。試算モデルを自社で持てば、単価改定や新規受注が採算にどう効くかを事前に試算でき、値上げの根拠づくりにも使えます。会計ソフトへ実績を渡す流れはリネンサプライの会計をCSVで連携する方法を参照してください。

正確な原価計算に必要なデータ(回収納品実数・数量差異)と現場記録の実務

試算モデルは、入力する実績データが正確でなければ意味を持ちません。とくに回転数と紛失破損補填費は、日々の回収・納品の実数と棚卸しの数量差異から積み上げる必要があります。

紙伝票の集計では回転数と差異が見えにくい

回収数・納品数を紙伝票で運用していると、月末にまとめて転記する過程で誤差が入り、品目別・顧客別の回転数や数量差異を正確に取り出しにくくなります。原価計算に必要なのは「何を何枚配って何枚戻ったか」の実数で、ここが曖昧だと償却費も補填費も推定に頼らざるを得ません。

回収納品実数と数量差異を現場記録から原価計算のデータに落とし込む流れを示す運用フロー図
回収納品実数と数量差異を現場記録から原価計算のデータに落とし込む流れを示す運用フロー図

現場入力の実績を原価計算のデータに落とす

配送員がその場で回収数・納品数を記録すれば、品目別・顧客別の回転実績と数量差異が実数で残ります。リネンサプライHUBでは配送員がスマホのブラウザで数量を手入力し、預け在庫が自動増減するため、原価計算のもとになる回収納品実数と差異を集計しやすくなります。集計した実績はCSVで書き出して会計処理に回せます(会計ソフトとのAPI直連携は提供しておらず、CSVエクスポートによる連携です)。数量差異の記録運用はリネンサプライの数量差異レポートの作り方で詳述しています。

よくある質問

リネンサプライの1枚あたり原価はどうやって計算しますか?

1枚あたり原価は「洗濯加工費+配送按分費+リネン償却費+紛失破損補填費+間接費按分」で費目分解して積み上げます。ポイントは、リネンそのものの費用を購入額そのままではなく「購入単価÷想定回転数」で1枚あたりに配賦することと、紛失・破損で消えた分の再調達コスト(補填費)を原価に組み込むことです。これらを外すと採算が実態より良く見えてしまいます。

リネン償却費(リネン費)はどう按分すればよいですか?

代表的な考え方は「リネン購入単価 ÷ 想定回転数」で1回あたりの負担額を出す方法です。想定回転数は洗濯に耐える耐用回数と、紛失・破損で失われる前に使えた回数の両面で決まります。理論値を置いて計算を始め、棚卸しの実績回転数で毎期見直すと精度が上がります。会計上の減価償却・費用処理の具体的な扱いは自社の会計方針や税理士にご確認ください。

損益分岐点はどの式で求めますか?

一般式は「損益分岐点売上高=固定費÷限界利益率(限界利益÷売上高)」です。リネンサプライでは1枚あたりで単価と変動費を把握できるため、「損益分岐点回転数=固定費÷1枚あたり限界利益(単価−変動費)」と回転数ベースに換算すると、延べ何回転で黒字になるかが直感的に分かります。

紛失・破損は原価計算にどう影響しますか?

紛失・破損は再調達コスト(補填費)として1枚あたり変動費を押し上げ、限界利益を縮め、損益分岐点回転数を引き上げます。同時に実際の回転数を想定より下げるため、リネン償却費も上振れします。原価を安定させるには数量差異を可視化し、どの品目・顧客で差異が出ているかを記録から追うことが要になります。

発注側(借りる側)の原価計算とは何が違いますか?

本記事は自社でリネンを保有し洗濯・配送して貸与する供給側の管理会計を対象としています。リネンを借りて使う発注側にとってのリネン費用は支払リース料・レンタル料として経費計上されるもので、費目分解の考え方が異なります。供給側は「保有リネンを何回転させて回収するか」、発注側は「使用量に応じた利用料をどう管理するか」が中心になります。

原価計算に必要なデータをシステムで集められますか?

原価計算のもとになる回収納品実数と数量差異は、現場入力の仕組みがあれば実数で集められます。リネンサプライHUBは配送員がスマホのブラウザで数量を手入力し、預け在庫が自動増減するため、品目別・顧客別の回転実績と差異を集計できます。集計結果はCSVで書き出して会計ソフトへ渡せます。ただしシステムが原価を自動算定するわけではなく、費目定義や配賦は自社の会計方針で設計する必要があります。

まとめ

リネンサプライの原価計算は、1枚あたり原価を洗濯加工費・配送按分費・リネン償却費・紛失破損補填費・間接費按分の5費目に分解し、リネン償却費を「購入単価÷想定回転数」で配賦するのが基本です。損益分岐点は「固定費÷1枚あたり限界利益」で回転数ベースに換算すると、延べ何回転で黒字になるかを直感的に把握できます。精度を決めるのは回収納品実数と数量差異という現場データで、ここを紙伝票の推定に頼ると採算が実態とずれます。市場は回復基調にあり(矢野経済研究所「リネンサプライ市場に関する調査(2024年)」で2023年度は前年度比108.5%の4,551億円)、1枚原価と損益分岐点を式で持つことが、値上げや新規受注の判断を支える土台になります。なお本記事の数値は考え方を示す係数モデルであり、実額と会計処理は自社の方針・専門家の確認のもとで算定してください。


原価は勘でなく式で持つ

リネンサプライHUBは、配送員のスマホ現場入力から回収納品実数と数量差異を記録し、原価計算のもとになる実績をCSVで書き出せます。1名あたり月額2,980円(6名以上・税込)から、初期費用30,000円(税込)でご利用いただけます。

料金・機能の詳細や無料での製品体験については、お問い合わせからご案内しています。

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