
リネンサプライの配送員・人手不足は採用×負荷軽減×定着で解決【2026年版】
リネンサプライの現場で「配送員(ルートドライバー)が採用できない」「採用してもすぐ辞める」という声が増えています。2026年には特定技能・育成就労に「リネンサプライ分野」が追加され外国人材の採用枠は広がりましたが、枠を広げるだけでは人手不足は解決しにくいのが実情です。この記事では発注側(貸与・回収・洗濯・納品を担うリネンサプライ事業者)の視点で、配送員不足の原因と「採用×負荷軽減×定着」の対策を一次データで整理します。
結論から言うと、配送員不足は採用だけでは解決しません。特定技能・育成就労の追加で採用枠は広がりました(受入れ開始は2027年4月予定)が、回収・納品数の記録や紙伝票の事務所転記といった現場事務が残ったままだと、採用しても定着せず再び不足に戻ります。そこで本記事は「採用(枠を確保)」「負荷軽減(現場事務を減らす)」「定着(辞めない運用にする)」の3点を同時に進める考え方を提案します。採用は入口、負荷軽減と定着は採用の効果を持続させる仕組みです。
二重入力や月末残業という「辞める原因」を減らさないまま採用を続けても、採用→離職→再採用のループから抜け出せません。
リネンサプライの配送員不足の現状と3つの原因
配送員不足は単一の理由ではなく、(1)労働集約による長時間労働、(2)離職率の高さ、(3)業界の高齢化・後継者不足の3つの構造的要因が重なって起きています。市場は回復傾向にあるため「需要は増えるのに人が足りない」ミスマッチも深刻です。

配送員不足を招く3つの構造的要因
リネンサプライは、洗濯工場のパート作業・ルート配送・営業事務を抱える労働集約型の事業です。回収から洗濯、仕分け、納品まで工程が連なり作業時間が積み上がりやすく、配送員も早朝・夜間の積み込みや月末繁忙で長時間労働になりがちです。長時間労働は離職率を押し上げ、離職のたびに残った人員へ負担が集中します。採用してもこの「働き続けにくい構造」が変わらなければ定着しません。
業界の高齢化・後継者不足という背景
帝国データバンクの「リネンサプライ業者の経営実態調査」では、調査対象1,071社のうち業歴50〜100年未満が500社(46.7%)、新規参入(業歴10年未満)はわずか17社(1.6%)でした。年売上1〜10億円未満が604社(56.4%)と小規模事業者が多いことも示されています。新規参入が極端に少ない構造は、業界全体の高齢化・後継者不足を映しています。ただしこの調査は2015〜2019年度決算ベース・2021年公表でデータが古い点に注意が必要です。経営課題の全体像は業務改善ガイドも参考に。
需要は増えるのに人が足りないミスマッチ
人手は細る一方で、市場の需要は戻っています。矢野経済研究所の調査によると、2023年度の国内リネンサプライ市場規模は4,551億円(前年度比108.5%)で3年連続の回復となりました。需要分野はホテルリネン・病院リネン・フードリネン・サービスリネン・産業リネン・交通リネン・ダイアパー・貸おしぼり・ダストコントロールの9分野です(矢野経済研究所)。需要が増えるのに配送員が追いつかないミスマッチが人手不足感を強めており、少ない人員でいかに配送・事務を回すかが競争力を左右します。
配送員不足の対策は「採用×負荷軽減×定着」の3点同時
配送員不足への打ち手は、採用・負荷軽減・定着の3点を同時に回すのが現実的です。採用で枠を確保し、事務負荷を下げ、辞めない運用に整える循環を一体で設計するのが要点です。

なぜ採用だけでは解決しないのか
採用を強化しても、現場に「辞める原因」が残っていると効果が続きません。二重入力・月末の請求残業・属人化したルートといった負担は、新しく入った配送員ほど重く感じます。採用→定着失敗→再採用を繰り返すと採用コストが膨らむため、採用を活かすには負荷軽減と定着をセットで進めます。
3点同時アプローチの全体像
採用で人を確保し、現場事務をデジタル化して負荷を下げ、辞めにくい運用が定着すれば追加採用の負担も軽くなる——どれか1つだけでは循環が途切れます。以降は「採用」「負荷軽減」「定着」の順に見ていきます。
採用:特定技能「リネンサプライ分野」の最新動向(2026年)
採用面の最大の変化は、特定技能・育成就労に「リネンサプライ分野」が追加されたことです。制度スケジュールは厚生労働省の公式情報で公開されており、受入れ枠の活用を検討する事業者は最新の一次情報を確認しましょう。

制度スケジュール(厚生労働省)
厚生労働省(健康・生活衛生局生活衛生課)によると、リネンサプライ分野が特定技能・育成就労の対象に追加され、運用方針が令和8年(2026年)1月23日に閣議決定されました。その後の協議会開催・要領別冊制定を経て受入れ開始は2027年4月予定で、洗濯工程や配送に関わる外国人材を受け入れる道が整いつつあります(節目は下表のとおり)。
| 時期 | 制度上の動き |
|---|---|
| 2026年1月23日 | 運用方針を閣議決定(リネンサプライ分野追加) |
| 2026年4月7日 | 第1回リネンサプライ分野特定技能協議会を開催 |
| 2026年6月1日 | 要領別冊(リネンサプライ分野)を制定 |
| 2027年4月(予定) | 受入れ開始 |
受入れの注意点と最新情報の確認方法
向こう5年間の分野別受入れ見込み数は厚労省の公式分野ページに明記がなく要確認です。一部報道の「特定技能1号 約4,300人」といった人数も報道ベース・要確認であり、事実値として扱わないことをおすすめします。協議会への加入要件・対象業務の範囲・必要な手続きは、必ず厚生労働省の公式ページで確認してください。採用枠が広がっても受け入れる現場の負荷が高いままでは定着は望めない点は、日本人・外国人を問わず共通です。
負荷軽減:現場事務をデジタル化して一人あたりの負担を下げる
採用と並んで重要なのが、配送員一人あたりの負荷を下げることです。配送員の負担は運転や積み下ろしだけでなく「数量の記録」と「紙からの転記」に多く隠れており、デジタル化すれば少ない人員でも現場が回りやすくなります。
配送員の負荷はどこにあるか
配送員の負荷の多くは、回収・納品数の記録と、紙伝票を事務所で再入力する二重転記に集中しています。現場で紙に書いた数量を事務員が打ち直す二重入力は、書き間違いや突合せ作業を生み、月末の請求業務を重くし、残業や属人化の温床になります。二重入力をなくす考え方は二重入力の問題と解消法、紙伝票の脱却はペーパーレス化ガイドを参照してください。
スマホブラウザでの現場入力という選択肢
二重入力を減らす選択肢が、ルート配送員のスマホブラウザでの現場入力です。回収・納品の数量をその場で入力すれば事務所での再転記が不要になり、一人あたりの事務負荷の軽減が期待できます。ただし「配送員を減らせる」と断定はできず、効果は事業者ごとの運用・人員体制で異なります。なお、リネンサプライHUBは専用ハンディ端末・RFIDを採用しておらず、スマホでの数量手入力+CSVが基本設計です。専用端末を使わない数量記録はハンディ端末に頼らない代替策、操作イメージは現場のスマホ入力を参照。
「現場で書いて、事務所でもう一度入力する」をやめるだけで、配送員と事務員の手間を一度に減らせる可能性があります。
【独自試算】配送員1日の負荷と削減余地
配送員1日の負荷を工程ごとに分けると、削減余地が見えやすくなります。以下は自社モデル前提の試算で実測値ではなく、削減効果を断定するものでもない点にご注意ください。
| 工程 | 主な作業 | デジタル化で見込まれる変化(自社モデル・要確認) |
|---|---|---|
| 回収 | 顧客先で使用済み品を回収・数量確認 | 紙メモを廃しその場で数量入力へ |
| 納品 | 洗濯済み品を納品・受領確認 | 受領数をスマホで記録、控えの転記が不要に |
| 数量記録 | 回収・納品数を伝票に記入 | 現場入力に一本化(二重記入の解消が期待できる) |
| 事務所転記 | 帰社後に伝票をシステムへ再入力 | 転記工程の圧縮が期待できる(削減量は運用次第) |
要点は、配送員の負荷が「運転」よりも「記録と転記」に分散している点です。現場入力で数量記録と事務所転記を一本化できれば、ルートを変えなくても事務負荷の圧縮余地が生まれます。自社の工程をこの粒度で棚卸ししましょう。

定着:負荷を下げて配送員が辞めない運用づくり
採用と負荷軽減の先にあるのが定着です。負担を減らすことが「辞めない現場」につながり、定着が進めば追加採用の負担も軽くなります。

二重入力・月末残業を減らすと定着はどう変わるか
配送員が辞める理由の上位には、長時間労働と月末の繁忙が挙げられます。二重入力や月末の請求残業といった「やらされ感の強い手間」を減らすと、日々の負担感が下がり定着につながると考えられます。現場記録をデジタル化すれば月末の転記・突合せ作業が分散され、請求業務の山も平準化しやすくなります。「採用した人が働き続けられる現場」づくりは、採用の投資対効果を高める打ち手でもあります(効果は事業者によって異なります)。
配送ルートの可視化で負担を平準化する
定着を高めるもう一つの観点が、配送ルートの可視化です。誰がどの訪問先を担当し、どの順で積み込み・配送するかが属人化していると、特定の配送員に負担が偏り、その人が辞めると一気に回らなくなります。配送コースを台帳で見える化し訪問先・サイクルを整理すれば、負担を平準化でき急な欠員にも対応しやすくなり、新人の早期戦力化にも役立ちます。進め方は配送ルート管理の進め方で解説しています。
よくある質問
リネンサプライの配送員不足はなぜ起きるのですか?
労働集約型で長時間労働になりやすく離職率が高いことに加え、業界の高齢化・後継者不足が背景にあります。帝国データバンクの調査では業歴50〜100年未満が46.7%、新規参入は1.6%でした(2015〜2019年度決算ベース・2021年公表でデータは古い点に注意)。一方で市場は回復傾向にあり、矢野経済研究所によると2023年度の市場規模は4,551億円・前年度比108.5%です。需要増に人手が追いつかないミスマッチです。
特定技能の「リネンサプライ分野」はいつから外国人を受け入れられますか?
厚生労働省によると、運用方針が令和8年(2026年)1月23日に閣議決定され、受入れ開始は2027年4月予定です。向こう5年間の受入れ見込み数や「1号 約4,300人」といった人数は報道ベース・要確認のため、必ず厚生労働省の公式分野ページで最新情報を確認してください。
配送員は採用さえできれば人手不足は解決しますか?
採用だけでは解決しにくいのが実情です。二重入力や月末の請求残業、長時間労働といった「辞める原因」が現場に残ると、採用しても定着せず再び不足に戻りやすくなります。本記事は、採用枠の確保と並行して現場事務の負荷を下げ、辞めない運用に整える「採用×負荷軽減×定着」の3点同時を推奨しています。
スマホ現場入力で配送員を減らせますか?
配送員を「減らせる」と断定はできません。回収・納品数の記録や紙伝票の事務所転記といった二重入力をスマホブラウザでの現場入力に置き換えることで、一人あたりの事務負荷の軽減が期待できる、という位置づけです。リネンサプライHUBは専用ハンディ端末・RFIDを採用しておらず、スマホでの数量手入力+CSVが基本で、効果は事業者の運用・人員体制によって異なります。
配送員の定着率を上げるにはどうすればよいですか?
長時間労働や月末の請求残業・二重入力といった負担を減らすことが定着につながります。回収・納品の現場記録をデジタル化し、配送コースを可視化して訪問先・積み込みを整理すれば、属人化と残業を抑えられます(効果は事業者により異なります)。
まとめ
リネンサプライの配送員・人手不足は採用だけでは解決しません。2026年の特定技能「リネンサプライ分野」追加で採用枠は広がりましたが、回収・納品の二重入力や月末残業といった「辞める原因」が残れば、採用してもまた不足に戻ります。市場が回復し需要が増える今こそ、(1)採用で枠を確保し、(2)スマホ現場入力で事務負荷を下げ、(3)負担の少ない運用で定着させる——この3点を同時に回すことが現実的な対策です。まずは自社の配送・事務の工程を棚卸しし、二重入力の解消から着手することをおすすめします。
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